九州大学病院内視鏡外科手術トレーニングセンター

センター長　江藤　正俊　えとう まさとし

近年、内視鏡外科手術は世界中で爆発的に普及し、従来の開腹による外科手術から、患者に優しい医療へと移り変わる大きな契機となりました。内視鏡外科手術における教育・トレーニングが非常に重要であることは明らかでありますが、系統的な　内視鏡外科手術のための体制づくりは欧米に比べて大きく遅れていると言わざるを得ません。

このような中、私どもは2004年より、一定のカリキュラムに沿って内視鏡外科の系統的な教育を受け、トレーニングを行う「九州大学病院内視鏡外科手術トレー　ニングセンター」を開設し、そのノウハウを蓄積すると共にトレーニング内容の　見直しを繰り返すことにより、有効なトレーニング効果が得られる事を報告して　きています。

本センターにおけるスタンダードコースは、ボックストレーニング、シミュレータトレーニング、Live Tissueを用いた手術トレーニングに分かれ、内視鏡外科手術における基本的手技の習得を目的とした、我々独自のカリキュラムとなっています。ボックス トレーニングのそれぞれのタスクは厳選されており、内視鏡外科手術に必要な空間認知力、 左右鉗子のコンビネーション等々が習得できます。

また、トレーニングコースへのシミュレータの導入は本セミナーの最もユニークな点で、我々の最近の教育効果判定試験では、 Virtual realityの世界で学ぶ内視鏡外科手術はボックストレーニングに匹敵する教育効果が得られ、シミュレーター　トレーニング独自の効果も得られることがわかっています。最近ではロボット手術の需要も高まってきており、ロボット手術のシミュレーターも導入しております。Live Tissueを用いた手術トレーニングでは、生体において実際に剥離、縫合、　　　結紮および様々な止血術を臨場感のある中で訓練することができます。

アドバンスドコースでは、消化管吻合術、単孔式腹腔鏡下手術、泌尿器科手術、小児外科手術、婦人科手術など具体的な術式をターゲットにした質の高いトレーニングコースを提供しております。

本センターは、今から内視鏡外科手術を始めようと思っている若手外科医から、さらなるスキルアップを目指す内視鏡外科医の方まで幅広く対応し、満足して頂けるようなカリキュラムづくりを目指します。